これを調べている時点で、たぶんもう心はけっこう動いていると思います。私もそうでした。
調べると「3年は続けたほうがいい」「3〜4年目が一番有利」と書いてあります。それを読んで、あと2年か…とため息をついた人向けの記事です。
先に結論を書きます。私は1年目の12月に転職エージェントへ登録して、2年目に入る前に転職しました。そして今でも「3年待たなくてよかった」と思っています。
ただし「年数なんて関係ない」という話ではありません。年数で求人が区切られているのは本当です。私が実際にエージェントから聞いた言葉を、そのまま書いていきます。
私が転職エージェントに登録したのは1年目の12月でした
きっかけは、正直に言うと仕事ではありませんでした。遠距離だった相手と一緒に暮らすことになって、遠方へ引っ越す必要が出てきた。それだけです。
ただ、引っ越しの話が出たとき、自分の中に迷いがまったくなかったのはたしかです。
私は新卒で中小のドラッグストアに入って、調剤が始まってからは処方入力がまったくできませんでした。質問しづらい職場で、医療事務さんに聞くのも怖かった。人間関係も、良いとは言えなかった。その状態で1年働いていたので、「引っ越すなら辞めよう」と考えるのに時間はかからなかったんです。
もし当時の職場が最高に楽しかったら、遠距離のまま続ける選択肢を考えたかもしれません。でもそうならなかった。引っ越しは理由であって、決断そのものはもっと前から用意されていた気がします。
とにかく、1年目の12月に登録しました。あとから振り返ると、この「12月」がなかなかギリギリでした。その話は後半に書きます。
エージェントに言われた「1〜3年目と、それ以上で募集が区切られています」
登録して面談をしたとき、担当の方にはっきりこう言われました。
「正直、1〜3年目と、それ以上で募集が区切られています」
これがこの記事で一番伝えたい部分です。ネットで「3年は続けろ」と言われる根拠は、たぶんこれなんだと思います。実際、求人票を見ていくと「実務経験3年以上」で線が引かれているものがけっこうあります。
で、ここからが本題です。
この言葉を聞いたとき、普通なら「じゃあ私は不利じゃん」と落ち込むところだと思います。でも私が思ったのは、まったく逆でした。
「3年目まで我慢しなくてよかった」
なぜそう思ったのか。同じ面談で、もうひとつ別の話を聞いたからです。
「4年目の病院薬剤師の方が落ちています」と言われた
面談では、求人票を見ながら「この企業の募集はありますか」「これ応募したいかもしれません」と希望を伝えていました。そのうちの1社について、担当の方がこう言ったんです。
「正直、この前この求人で4年目の病院薬剤師の経験者の方が落ちているので、無理そうです」
「社長さんは中途採用でも構わないと言っているんですが、人事の方が新卒を起用したいと考えている企業なんです」
「時間の無駄になるかもしれません」とまで言われました。
正直、ここでハッとしました。
4年目です。しかも病院薬剤師の経験者。ネットの記事で言えば「一番転職しやすい年次」の人です。その人が落ちている求人がある。理由は経験不足ではなく、企業側の事情でした。社長と人事で採用したい人物像が違う、という完全に外側の話です。
これを聞いて、私の中で前提がひとつ崩れました。
3年我慢して4年目になったからといって、行きたいところに行けるわけじゃないんだ、と。
「3年待つ」の本当のコストは、椅子が変わることだと思う
あとから考えて整理できたことがあります。
「1〜3年目と、それ以上で募集が区切られている」というのは、1〜3年目が門前払いという意味ではありません。1〜3年目には、1〜3年目用の椅子があるという意味でもあります。第二新卒枠と呼ばれるものです。
ここで争う相手は、同じくらいの経験年数の人たちです。「まだ育てられる」「若いうちに自社のやり方を覚えてほしい」と考える企業が、この枠を用意しています。
一方で、3年我慢して4年目になると、座る椅子が変わります。経験者枠です。そこで並ぶのは、私が「無理そうです」と言われた、あの4年目の病院薬剤師の方のような人たちです。即戦力として評価される代わりに、即戦力として比べられます。
つまり「3年待つ」というのは、有利になるのを待っているというより、戦う場所を変えているだけかもしれない。しかも、待っている2年間の職場は、今の職場です。
私はこれを面談中に感覚として理解したので、その場で「待たなくてよかった」と思えました。
ただし、1〜2年目で動くなら気をつけたほうがいいこと
ここまで背中を押すことばかり書いてきましたが、いいことばかりではありませんでした。誠実に書きます。
求人の選択肢は、やっぱり絞られる
「区切られている」と言われた通り、経験3年以上の求人には応募できませんでした。見ていて「これ良さそう」と思ったものが対象外だったことは普通にあります。ここは事実として受け止めたほうがいいです。
だから逆に、1〜3年目枠がある求人を効率よく出してもらうために、エージェントを使う意味がありました。求人サイトを自分で眺めていたら、応募できないものを延々と見て落ち込んでいたと思います。
私は「引っ越し」という説明しやすい理由があった
これはかなり大きかったと思います。面接で「なぜ1年で辞めるのか」を聞かれたとき、引っ越しという事情があると話が早い。相手も納得します。
もし理由が「人間関係がしんどい」「仕事ができなくてつらい」だけだった場合、そのまま伝えると印象は良くないはずです。嘘をつく必要はまったくないけれど、「次の職場で何をしたいか」に言い換える準備は必要だと思います。私の場合は「引っ越し先で長く働きたい」でした。
時間がないと、選べる範囲が狭くなる
これが私の一番の反省点です。あとで詳しく書きます。
ちなみに「まだ転職するか決めていないのに登録していいのか」は、私はしていいと思っています。薬剤師の転職サイトに登録だけするのはアリなのかという記事にも書きましたが、私も面談の時点では「本当に転職するのか」を100%決めきってはいませんでした。決めるための材料をもらいに行った、という感覚に近いです。
私の転職スケジュール(1年目12月〜4月入社)
実際の流れです。
- 1年目の12月〜1月:転職エージェントに登録、面談
- 2月:採用が決まる
- 3月:退職手続き、引っ越し準備
- 4月:引っ越して新しい職場で勤務開始
並べると、けっこう詰まっています。即決まったといえば聞こえはいいのですが、4月から働くという期限が決まっていたので、時間をかけられなかったというのが正確です。
あのとき担当の方が「時間の無駄になるかもしれません」と言ってくれたのも、今思えば親切でした。落ちる可能性が高い求人に1か月かけたら、4月に間に合わなくなるからです。
もし私が9月とか10月に動き始めていたら、もう少し比べられたと思います。ダメ元でその企業を受けてみることもできたかもしれない。「早めに動く」の本当のメリットは、早く転職できることじゃなくて、選ぶ時間が持てることです。
結果として私は大手のドラッグストアに転職して、その後は管理薬剤師も経験しました。1年目で辞めた経歴が、その後のキャリアの邪魔をしたことは、少なくとも私にはありませんでした。
結局、薬剤師の転職は何年目からがいいのか
私の答えは「動きたいと思った年です」です。ふわっとした答えに見えるかもしれませんが、理由があります。
年数で有利不利がまったくないとは言いません。3年以上で応募できる求人が増えるのは事実です。でも、年数はチケットにはならなかったのを私は目の前で見ました。4年目で経験もある人が、企業側の都合で落ちていた。
それなら、年数を積むために今の職場で耐える2年間に、どれだけの意味があるんだろうと思います。その2年で確実に手に入るのは経験年数ですが、確実に失われるのは2年です。
1〜3年目のうちにいろいろな企業を見られたことは、私にとってはプラスでした。求人票を読むと、給料の相場も、休みの取り方も、こういう会社は何を大事にしているのかも見えてきます。それを早い段階で知れたので、その後は「会社に評価されること」より「自分の市場価値を上げること」を考えて働けました。
社歴やキャリアだけが人生ではありません。ただ、仕事は人生でいちばん長い時間を使うものでもあります。だから、悩んでいる時間があるなら動いたほうがいいと私は思っています。
まずやることは、たぶん「知ること」だと思う
とはいえ、いきなり辞めるのは怖いです。私も辞めてから探したわけではなく、働きながら登録して、決まってから辞めました。
私が実際にやってよかったのは、自分の年次で応募できる求人が現実にどれくらいあるのかを、人に聞いてしまうことでした。「1〜3年目で区切られている」も「この求人は4年目の人が落ちている」も、自分で求人票を見ているだけでは絶対にわからなかった情報です。
これを教えてくれるのは、その求人を扱っている担当者しかいません。しかもタダで聞けます。私が1年目の12月に「無理そうです」と正直に言ってもらえたおかげで、無駄撃ちを避けられました。
登録して面談するだけなら、転職が確定するわけではありません。今の年次で何が狙えるのかを知るところから始めてみてください。
よくある質問
1年目で転職すると経歴に傷がつきますか?
私は1年目で辞めて大手のドラッグストアに転職し、その後管理薬剤師も経験しました。少なくとも、その後のキャリアで困ったことはありません。ただし面接では「なぜ辞めるのか」は必ず聞かれます。答えを用意しておけば大丈夫だと思います。
第二新卒枠は何年目までですか?
私が言われたのは「1〜3年目と、それ以上で募集が区切られている」でした。企業や求人によって違うので断言はできませんが、3年目までがひとつの区切りとして扱われている感覚はあります。逆に言えば、3年目までなら同じ枠で戦えるということです。
1年目でもエージェントは相手にしてくれますか?
してくれました。私は1年目の12月に登録して、面談で求人票を見ながら希望を伝えて、2月に決まりました。むしろ、応募できない求人を教えてもらえたことが助かりました。
転職理由は正直に言っていいですか?
エージェントには正直に言ったほうがいいです。事情がわからないと合う求人を出せないからです。面接では、事実は変えずに「次でやりたいこと」に言い換えるのが無難だと思います。
3年目まで待ったほうがいいケースはありますか?
今の職場でやりたいことが残っているなら、待つ価値はあると思います。逆に「経験年数を稼ぐため」だけが理由なら、私はおすすめしません。年数は保証にはならなかったからです。
在職中に探すべきですか、辞めてから探すべきですか?
私は在職中に探して、決まってから辞めました。収入が途切れないので焦らずに済みます。ただ、私のように入社日が決まっている場合はスケジュールがきついので、早めに動き始めたほうがいいです。
ちなみに転職先として大手を選んだ結果どうだったかは、大手に移って感じたことに書いています。
まとめ
- 私は1年目の12月に転職エージェントに登録し、2月に採用が決まり、4月から新しい職場で働き始めた
- エージェントには「1〜3年目と、それ以上で募集が区切られている」と言われた
- 同じ面談で「4年目の病院薬剤師の経験者が落ちている求人がある」とも言われた
- 年数を積んでも、企業側の事情で落ちることはある。年数はチケットにならない
- 1〜3年目には1〜3年目用の枠がある。3年待つのは有利になるのを待つより、戦う場所を変えることに近い
- ただし応募できる求人が絞られるのは事実。だからこそ自分の年次で何が狙えるのかを人に聞いたほうが早い
- 早めに動くメリットは、早く転職できることではなく、選ぶ時間を持てること
「あと3年我慢するべきか」で止まっているなら、私は動いていいと思います。いろいろな企業を早いうちに見られるのは、その後の人生設計にプラスになります。行動あるのみです。
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